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タイトル71 自己紹介へ

既に「生物権」の時代だ。

車は円山川の堤防の道を走っていた。右手は広い河原、左手には豊岡の町並みが見える。やがて道端に「放鳥会場交通規制」の立て看板が出てくる。心が少しずつ高揚してくるのを感じる。
午後2時30分、籠のテープが切られるとコウノトリがゆっくり飛び出し空を舞う。回りから歓声が沸き起こる。拍手が起こる。

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今回は車中泊でなく、駅前の旅館案内所へ向かった。受付女性が紹介書に男女二名と記入しているのに気づいた。一人だと伝えると不安そうな様子がみえる。
何しろ丸坊主で人相が悪いから仕方ないが。そこでコウノトリの放鳥を見に来たと話すと目が和らぐ。
旅館でも、部屋に案内されるとコウノトリですかと話しかけてくる。地元でもかなり関心は高いようだ。
温泉から上がった後はいつものとおり焼酎一杯。酔いが回ってくると思いが頭をめぐる。
誤解を恐れずに言うと、人権の時代は終わった。既に生物権の時代なのだ。植物も動物もすべての生物が共存できる方向を第一義に考えなければ、人類が絶滅する事も想像できるようになってきたのだ。コウノトリと人、どちらが大切か、当然人だ。 しかし鳥を絶滅させれば人も絶滅する方向だ。鳥は1億4千万年、人はせいぜい500万年。桁が違うのだ。もっと謙虚に生きよう。

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市民の森で負傷したチョウゲンボウを預かった。カバーをそっと上げると鋭く見上げる。その目は猛禽の誇りに満ちたものだった。優雅にホバリングしていた姿を覚えているので籠の中の姿に敬意さえ感じた。
右肩の骨折で再び空を舞うことはできないだろうとの診察だったが、何もしてやれない。

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大手門を出ると坤(ひつじさる)やぐら跡辺りが騒がしい。しばらく待っていると、突然幕が開いたように辺り一帯の雰囲気が変わる。飛び出したオオタカの後に、カラスたちが鳴きながら続く、ムクドリの群れが飛び回り、ドバトが必死で逃げ回る。オオタカはUターンすると再び西の丸庭園の林に入る。カラスたちがその辺りの木に群がってココだココだと鳴き喚く。

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昨夜の飲み過ぎのせいかどうもすっきりしない。頭をふりふり豊国神社裏の道を進む。曇空ならとぼとぼ歩けるが、快晴がいけない。二日酔いは後ろめたい。
三番やぐら跡辺りの木立に鳥のシルエットが見える。これはと双眼鏡を向けるとハイタカだ。ゆっくり見やすいほうに回る。
ハイタカとこれほど近距離の出合いは初めて。胸から腹の細かい横斑がはっきり見え、いかにもタカといった感じでわくわくする。眉斑が比較的目立つ個体だ。
彼女は、何だこいつはといった感じで時々こちらに目を向けるが、警戒している様子はない。二日酔いもすっ飛ぶ。

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この冬、タカたちと出合いが多い。大都市の公園に、何故やって来るのだろうか。生態系の頂点に立つタカたち。君たちに何を学べばいいのだろう。

71号掲載(2006年1月)

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