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 ルーツ 〜遠い異国の地で〜

18世紀半ば、アフリカのガンビアで多くの若者が捕らえられた、その中にクンタ・キンテという少年もいた。彼らは奴隷船で連れ去られ到着したのはアメリカ、そこで待ち受けていたのは過酷な労働、人種差別、etc…。商品として送られてきた彼らに自由という言葉は存在しなかった。
1861年、奴隷制存続を主張するアメリカ連合国と廃止を求めるアメリカ合衆国間で南北戦争が勃発。1865年、奴隷制廃止を求めたアメリカ合衆国が勝利し終結、同時に奴隷制度が廃止された。

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毎年のことだが梅雨入りと同時に閑散とする大阪城公園の野鳥、取って代わって蝶の季節がやってくる。梅雨時に多く観察出来るのはモンシロチョウ、今年は特に多く6月15日には過去最多の183頭を記録、何か理由でもと探ってみる・・・
幼虫または蛹で越冬する本種、例年初見は3月中旬から4月上旬、第1化群である。5月に入るまで10頭程度、その後の繁殖で一気に増加するのが6月に入ってすぐ、しかし毎年個体数が異なるのは解せない、影響があるとすれば除草作業だろう。羽化後に作業が行われれば個体数に大きな変化はないだろうが、羽化前に除草されれば幼虫や蛹はゴミ袋の中である。
もうひとつ気になったのが6月5日に人工川だけで45頭観察出来たこと、そこに繁茂するのがクレソン。調べてみればクレソンはアブラナ科、モンシロチョウが食草とする植物だ。数年前から繁茂し除草もされず梅雨入り時には人工川を7割方埋め尽くす。冬でも枯れることなく幼虫や蛹の絶好の越冬場所になっているのだろう。
さらにクレソンを調べると原産国は地中海沿岸、その後ヨーロッパ諸国で栽培。オランダガラシ、ミズガラシの別名があるのでオランダから持ち込まれ水辺で育つ植物であることは容易に想像出来る。
話を戻しモンシロチョウ。蝶の代名詞と言えるほど日本人に馴染み深い本種、遡れば地中海沿岸が原産。弥生時代から奈良時代に大根と共に移入された蝶である。その後明治時代にアブラナ科を含む多くの野菜が移入された、その中にはクレソンも。全国で一斉に栽培されモンシロチョウが大繁殖したのはいうまでもない。
なるほど、ルーツをたどればモンシロチョウが生まれたのは地中海沿岸、種々の野菜と共に運ばれ気が付けば異国の地、日本。繁殖の場を広げ大阪城公園で遠い故郷の味クレソンを食し自由に舞っているわけだ。

自由を求め想像を絶する苦難に立ち向かうクンタ・キンテ一族を描いたドラマ「ルーツ」。子孫である原作者、故アレックス・ヘイリーは遠い故郷にどんな思いを馳せペンを走らせていたのだろうか。

 

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