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73回タイトル

「アカハネオンブバッタ」

10月11日(土)と12日(日)に連休が取れたので、両日とも大阪城公園に行った。探鳥ではなく別の目的の為に。
フィールドノ-トに記載した鳥は、辛うじて チョウゲンボウ2羽。
キビタキ・ムシクイの地鳴きや、大型ツグミの「ツィー」も耳に入るが、この日ばかりは我慢した。
下ばかり見て歩いた。下草の有る所ばかり歩いた。オンブバッタを探そうとして。

ヒシオドシチョウ

この昆虫は、子供の頃一度は目にしたり手にしたりした事があるのではないだろうか。♂が♀の上に乗った様子が可愛らしい。
交尾の為の体勢であるが、交尾後も♂はマウント行動を取り続ける。他の♂に交尾をさせない為だと考えられている。
捕えようとすると、他のバッタのように飛翔して逃げることは稀で、ピョンピョンと跳ねるだけなので小さい子供でも掴まえられる。
日本全土に分布し、年1回の発生、秋に成虫になる。
♀は40~42mm、♂は20~25mm、緑色型と褐色型がある。

帽子にとまるヒシオドシチョウ

日本には、オンブバッタの他に、ヒメオンブバッタ・アカハネオンブバッタが生息している。
ヒメオンブバッタは、やや小型で♂約19mm、♀約30mm。本州、四国、九州に分布。
アカハネオンブバッタは、♂20mm~25mm、♀40~42mm。緑色型と褐色型がある。トカラ列島以南に分布。オンブバッタより頭頂が短く、複眼から触角までの距離は複眼の長径の約半分。後翅が赤いと言う特長を持っている。逃げる時には翅を使ってよく飛翔するので、その行動からも概ねアカハネオンブバッタと推測できる。

9月13日、大阪市立自然史博物館の特別展「都市の自然 2014」を観に行って来た。
アカハネオンブバッタが大阪近辺にいることを知ったのは、この時である。
特別展の解説書に因ると、2011年頃から大阪を中心とした近畿地方で相次いで発見され、沿岸部ではアカハネオンブバッタしか見つからない場所もあるらしい。
大阪市内の公園をはじめ、関空やポートアイランド、淀川沿いには牧野・鵜殿辺りまで分布しているとか。徐々に内陸に向けて分布が広がっているようでもあるとのこと。
そこで、大阪城公園の状況を我が眼で確認しようと思い、鳥見そっちのけでバッタ探しとなった訳である。折しも11日の午後には、博物館で「移入種アカハネオンブバッタ」のオ-プンセミナーがあったので、参加してほんの少し知見を付けさせて頂いた。

テングチョウ

やはりアカハネオンブバッタがいた。在来種と移入種が混生していた。むしろ移入種の方が多いように感じられた。
掴まえて後翅を覗くと、赤いのがわかる。

ヒオドシチョウ

バッタが黒く汚れているのは、口から出した黒い液のせいです。(扱いに不慣れのため、持ち替えたりしてたらバッタに嫌われました。バッタさんご免なさい。)
在来のオンブバッタの後翅は透明なので、ここを確認すれば識別は容易です。
さて、セミナーでの説明に因ると、アカハネオンブバッタは国外では中国・台湾・済州島(韓国)・ベトナム北部に分布しており、何処から大阪に入って来たのかを探っている。と同時に在来種への影響を調べているようだ。
湾岸部に多いことから、船舶・或は航空機による物流に紛れて侵入した可能性が高いらしい。
以下、セミナーの内容をかい摘まんでみよう。
9月に台湾に渡り、キ-ルン周辺(北部にある貿易港)から南部にかけてサンプル採集した。
大阪産・沖縄産・台湾産個体の、遺伝子の一部の塩基配列を解析してその系統を調べた。
大阪産と沖縄産は異なる系統だった。
沖縄産は台湾産と同じ系統と考えられる。 大阪産は台湾産の多くと異なる系統であっ たが、台湾産サンプルの一部に大阪産に近 い系統があった。
しかし、此れをもって台湾から大阪に移入したとするのは早計である。台湾にいた大阪産と同じ系統が、台湾に元々いた系統であるのか否かが不確定だからである。
つまり、その系統が大阪に移入したと同じように、台湾にも他所から移入した可能性も考えられるからだ。
今後、中国、韓国等の多くのサンプルを解析してみないと結論が出ない。
もう一つは、マウント行動実験の報告である。
オンブバッタの♂♀とアカハネオンブバッタの♂♀で、♂と♀のペア(4通り)をつくりマウント行動と交尾の様子を調べた。
同種のペアは両種とも実験室内で、マウン ト行動から交尾に至るものが多かった。 在来種とアカハネのペアでは、マウント行 動や交尾に至るものの、体勢が崩れたり交 尾の時間が短かったりして不自然さが見ら れた。
実際に、野外で在来種とアカハネのマウント行動が観察されている。
交雑の可能性も示唆されるが、異種間のマウントによって、在来種どうしの交尾が阻害される虞がある。
以上が概略です。
人為的に外来種を放つのは以ての外であるが、人間や物の移動によって、好むと好まざるとに拘わらず、外来種の侵入は避けられないものだと考えさせられる。
それは昆虫に限らず。
東京を騒がせたデング熱も然りである。
尚、博物館の「アカハネオンブバッタの移入・拡散の実態と在来オンブバッタに与える影響の解明」は日本学術振興会の行う科学研究費助成事業に採択され、本年度から2017年まで研究が続けられるようです。
その成果が待たれます。

 

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