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73回タイトル

1月18日早朝ホシハジロとキンクロハジロの群れの中に一羽のカモを見つけ、目が釘付けになった。一瞬とまった息を吐き出しながら「トモエ!」
鳥見を始めたころ、見たいカモの一つにトモエガモがあった。顔に巴の黄色い模様をもつと図鑑にあるように、神の創造の不思議と言うか、進化の面白さとでも言えばいいのか興味深い色柄のカモだ。
ナポレオン帽子のヨシガモや、銀杏羽のオシドリや、パンダのミコアイサなどは順調に見られたが、どうしたことかトモエが見られない。
出ていると耳にするたびに急いで駆けつけるが、ことごとく振られた。
いわゆる相性が悪い。例えば、姫路市自然観察の森、距離は遠いが毎冬見られていると聞いて出かけた。少々離れていても一目見られるだけでいい。ところが貯水池の隅から隅まで探しても見当たらない。やはり空振りだ。
またあるときは、片野鴨池に200羽を超える群れが入っているとの情報があった。ついにトモエとの出合いかと躍り上がる心を抑えながら娘と高速道路を走った。 
観察館に着くや窓に駆け寄って池を見るが見当たらない。そんなはずはとマガモの群中も慎重に探すがいない。不安がだんだん膨らんできて、互いに顔が合わせられない。意を決して観察館の方に尋ねると「昨日まで200を越す群れが入っていたが、どうしたことか今朝からいません」。不幸な親娘はうなだれて高速道路を帰途についた。
その後、努力の甲斐あって何度かの出合いがあった。がトモエガモをして気高いカモに思えてならない。
数年前に千里に出ているとの話を耳にした。しかし「町の中に来るような奴は本物じゃない。顔はトモエでも尻はオナガくらいのもんだろうよ」と聞き流していた。ところが千里在住のIさんからいただいた賀状にきれいな写真があった。
驚いて出かけると投げるパンに寄ってくるのだ。あのトモエが手も届きそうなところに浮かんでいる。これで俺もトモエガモを卒業できたと。
特別な思いが自分のフィールドにやって来たことで終着したように思えた。
52号掲載の巻頭言より(2002年2月)

トモエガモの写真

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