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大阪城公園の野鳥タイトル

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73回タイトル

東京ではカラスと人との軋轢が問題となっているが、大阪ではカラスがニュースになることはほとんどない。大阪城公園でも、オオタカへのモビングやドバトを襲う行動などが話題になる程度である。
今回、大阪城公園の記録の一環として基礎的な資料を得るために、ハシボソガラスとハシブトガラス(以下ボソとブト)について全数確認調査を実施したのでその結果を紹介する。
調査従事者は28名で、多くの方にご協力いただいた事をこの場を借りてお礼申しあげたい。

■第1回 大阪城公園カラス生息数調査

  1. 調査の目的:大阪城公園に生息するハシボソガラス、ハシブトガラスの正確な羽数を把握し、大阪城公園における鳥類記録の資料とするため。
  2. 調査年月日:2003年3月21日(金)午後1時から3時まで
  3. 調査区域:大阪城公園内全域。東側はJR環状線沿いの道路、西側は上町筋、南側は本町通、北側は公園に隣接する寝屋川と第二寝屋川に囲まれた大阪城公園内。隣接する各道路は公園側の歩道まで、北側は河川の右岸まで。
    地図
  4. 調査方法:大阪城公園内を14調査単位に区切り、担当調査員が該当地域のハシボソガラスとハシブトガラスを目視により一斉にカウントしその数を集計する。随時双眼鏡、スコープ等観察機器を使用し精度向上を図る。

■総個体数は105羽。

14地域の合計は105羽(ボソ46、ブト58、不詳1)であった(別表)。繁殖期のため非常に少ないと推測していたが、非繁殖個体など推測数を上回る数を確認した。この結果が大都市の中央に位置する公園として多いのか、あるいは少ないのか。
個体数は秋冬と繁殖期では大きな変化がある。今回の結果から秋冬の個体数は少なくとも300~400羽以上と思われる。

カラスのイラスト■高密度繁殖地。

この時季は繁殖期のため巣材運びや営巣が確認されている。
確認した巣は26か所。すべてクス、ヒマラヤスギ、ケヤキなど高木の樹頂近い場所にある。巣材は小枝が主で、一部針金ハンガーも使われている。
26のうち現在3か所でボソ、8か所でブトが営巣している。その他15か所の巣がこれから使われるかどうか。営巣の場合ボソかブトかなど今後の観察によるが、大阪城公園はカラスの高密度繁殖地といえる。

■ブトがやや多く逆転。

今回の調査結果では、ボソが44.2%、ブトが55.8%とブトがボソをやや上回っている。
過去の記録を開くと、1995年から1997年の3年間における、2月~4月の記録(日々の観察記録からの抜粋で公園全域の全数調査ではない)では、ボソが61.5%、ブトが38.5%でボソが大きく上回っていたが、今回の調査では僅差ながら逆転していることが判明した。
これは大阪城公園を含む大都市の環境が本来草原の鳥であるボソより、森林の鳥であるブトに適合すること。餌を人の出すごみに依存する割合の高い都市では、ブトの方がより適応していることによると思われる。東京ではほぼ100%、ブトであるが、このまま推移すれば大阪城公園でもブトが大部分を占めるようになるのだろうか。

■ねぐらは藤田美術館。

カラス調査に前後して2月から3月にかけて、早朝と夕刻計6回にわたり、大阪城公園から出て行くカラス、入ってくるカラス(ボソとブト)の、方向や数を調査した。
その結果、大阪城公園のカラスは、日没約1時間前から日没約30分後にかけて、北外堀を越えて、北部の藤田美術館方向へ出ていくことが分かった。
北以外の方向に出ていく個体はゼロか極少ない。早朝は日の出の27~28分前から大阪城公園へ入り始める。方向は北部からである。
夕刻に北へ出た数は、平均で一日144羽だった。大阪城公園より南から大阪城公園へ入ってきた数は27羽。この大部分は大阪城公園に留まらず通過して北へ向かう。
一方夕刻に北から大阪城公園へ入ってくる個体もあり、この平均数は34羽だった。
結論として大阪城公園のカラスは夕刻に北へ向かって出ていくものが大半。また教育塔裏や西の丸庭園など、公園内をねぐらとする個体もある。
天守閣から直線距離で900m北にある藤田美術館は概算200~300羽の小規模なカラスのねぐらがある。北へ出ていくカラスはここをねぐらとしていると思われる。

58号掲載(2003年4月)

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